オメガから生産終了モデルが入荷しました。
タイムオンリーウォッチの象徴とも言える素晴らしい出来栄え。
1950年代に開発されたミリタリー時計を祖とするレイルマスターの魅力をご紹介いたします。
2017年に発表された限定モデル、
レイルマスター1957トリロジー。
品番 :
220.10.38.20.01.002 *生産終了 *3,557本限定モデル
イギリス空軍向けの軍用時計をベースに開発された耐磁時計、レイルマスターのファーストモデルref.CK2914を現代の技術で再現しています。
この限定モデルは1957年当時のファーストモデルのフォルムとプロポーションを維持しながら、最先端のムーブメントと現代のクオリティを備えているため、ある種「復刻」以上のものであると言えます。
ポリッシュ/ブラッシュと丁寧に仕上げを施した38mmケースに、シーホースがエングレーブされた伝統的なケースバック。
今では珍しい19mm幅のブレスレット。
この外観だけでもとても魅力的なモデルなのに、ムーブメントは時計界で一番の耐磁を誇るマスタークロノメーター自動巻きcal.8806を搭載。
バックルには長さ調整用のアジャスターがつけられ実用性を追求しています。
文字盤はトリチウムと黒文字盤の経年劣化を表現。
オリジナルは耐磁力を高めるために軟鉄製の文字盤でしたが、ムーブメントが進化したためブラス製に変更されています。
ノスタルジーを感じるドーム型の風防に磨き込まれたスムースベゼル。
サファイヤクリスタル製の風防の中心にレーザーで小さく刻まれたΩロゴも誇らしいです。
この60年の歳月を経て生まれたレイルマスター1957トリロジーの素晴らしさは、普遍的なサイズとファーストモデルにインスパイアされたルックス、現代の技術の完璧な結晶に帰着します。
CK2777-1(軍用)、CK2777-2(民生用)、そしてレイルマスターCK2914へ
さて、このレイルマスターはどうやって開発されたのでしょうか。
それは今から70年も前の1953年のイギリス空軍向けの時計 ref.CK2777 でした。
ref.CK2777
第二次世界大戦中、イギリス国防省は特注の腕時計の製造をスイスのオメガを含む12の時計メーカーに依頼しました。
そう、元々は完全に軍用のミリタリー時計に遡ります。
イギリス空軍は機内で発生する磁気の影響を受けない時計の開発をオメガに依頼し、1953年よりCK2777-1を当時イギリス連邦のカナダに送り、さらに改良発展を加えたCK2777-2を民生品として販売しました。
ローター外れを起こさせないために手巻きのクロノメータームーブメントを搭載し、かつ耐磁性に優れていたためCK2777はヒットしました。
レイルマスターCK2914はこの軍用だったCK2777からの影響を多分に受け、CK2914-1~6と改良を重ねながらも、1957年から1961年(1963年の説もあり)のわずか数年間しか作られなかった非常にレアなモデルになります。
この時代は市場調査としてプロトタイプが販売されるなど様々なバリエーションが点在しており、また高額で取引されていることからも人気の高さが伺えます。(レイルマスターの軍用モデルも2種類あり超希少)
ref.CK2914
CK2914-1 〜 CK2914-3
時分針 : 時針がブロードアロー(稀にドーフィン) 秒針 : ストレートもしくはロリポップ 文字盤 : トライアングルインデックス CK2914-3 ~ CK2914-6
時分針 : 時針がブロードアロー(稀にドーフィン) 秒針 : ストレートもしくはロリポップ 文字盤 : 稀にアラビアインデックス
レイルマスターという名のペットネーム
さて、このCK2914が何故”レイルマスター”と名付けられたか、その理由を探るには1950年代のアメリカに目を向けなければなりません。
鉄道狂時代と呼ばれた1940年代を経て、電気機器の普及が進んだ1950年代、鉄道も大きな変革を遂げていて、アメリカやカナダの鉄道会社は蒸気機関車の代わりにディーゼル機関で発電する電気式気動車を多く採用していました。
蒸気機関に比べて静かで速い電気式気動車は乗務員の時計を磁気帯びさせ、時計の耐磁性能が大きな問題となったようです。
そのため、多くの時計会社が耐磁時計を発表し、オメガも耐磁性能を持つレイルマスターを1957年に発表しました。
下はその年表です。
1955年
IWC:インヂュニアref.666 1956年
ロレックス:ミルガウスref.6541 1957年
オメガ:レイルマスターref.CK2914 1958年
パテックフィリップ:ref.3417 ジャガールクルト:ジオフィジックref.E168
完璧と言える再現された夜光
当時のアメリカ市場はペットネームの付いた時計を歓迎する土壌があり、”CK2914”より”レイルマスター”の方がマーケティング的にも良かったそうです。
そういった背景もあり、1953年に軍用として開発された腕時計が大きく世に出たわけです。
旧Ωロゴのバックル裏には長さ調整用のアジャスター付
それから60年を経た2017年にレイルマスターはスピードマスター、シーマスターと共にトリロジーとして復刻されるのですが、復刻するに当たって初代レイルマスターをMRIにかけて正確なサイズを算出。
トモグラフィーという手法は時計業界初と話題になりました。
実のところ、レイルマスターという名前は今回の復刻が初ではありません。
2000年代に入ると、オメガは2003年にレイルマスター コーアクシャル クロノメーターと呼ばれる新しいモデルを発表し、2012年には別のバージョンであるレイルマスターXXLを発表しましたが、1957年に製造されたファーストモデルに匹敵するものはありませんでした。
この60周年記念のレイルマスター1957トリロジーはわずか3557本しか製造されていません。
その代わり、私たちが復刻に望む全てのものが再現されていて、実物はそれ以上です。
現実は想像を超えます。
さて、最後に伝えたいのは、今日多くのブランドが古典的な時計のサイズに回帰しています。
ブレスレット仕様の小型のツールウォッチには紛れもない魅力があり、多くの人が袖口の下に収まる時計に惹かれてるのもまた事実です。
レイルマスターのオリジナルのデザインは時代を超えて完璧で、2017年に発表された当時は少し小さく見えたこの限定モデルも、現在はちょうど良い大きさに感じると思います。
時計の収納ボックスも1957年当時を再現。
交換用ストラップも付属し、コレクターの琴線に触れる作りになっています。
スイスのオメガ社に残る僅かな在庫を数本入荷しています。
気になる方はメールかお電話でお問い合わせください。
レイルマスター1957トリロジー 品番 :
220.10.38.20.01.002 *生産終了 *限定モデル