
皆さん、こんにちは。
アイアイイスズの山本です。
今回は、ドイツウォッチの雄A. LANGE & SÖHNE(A.ランゲ&ゾーネ)をご紹介させて頂きます。
皆さんは、A.ランゲ&ゾーネの時計と聞いてどんなイメージを持たれますか?
「ムーブメントが、ものすごく美しい」
「ドイツ製品らしく、しっかりとした品質」
「高級時計という印象」
などなど、A.ランゲ&ゾーネには様々な魅力があります。
ただ一方で、
「スイス時計と比べてどう?」
「すごく高級なイメージで、着けている人の年齢は?」
といったご質問をよくいただきます。
今回は、スイスの高級時計とは違う独自の道を歩んできたドイツウォッチの最高峰について、
詳しくご紹介させて頂きますね。
A.ランゲ&ゾーネ製品の凄いところ
私が考える“ランゲの凄いところ”は、大きく分けて3つのポイントになります。
ランゲ独自の“凄さ”(セールスポイント)について、まずはご説明させて頂き、
その後「各シリーズ紹介」「ランゲの歴史」についてお話しできたらなと思っています。
機械の美しさ
※クリックすると拡大表示されます
画像出典:Online LUXE掲載 1815 クロノグラフ Ref.414.028 のケースバック
まず、やはり一番のポイントは、機械の美しさだと思います。
洋銀(注1)で出来ているA.ランゲ&ゾーネのムーブメントの見た目は、言葉では説明する必要がないほど美しいです。
ランゲの時計は基本的にバックスケルトンとなっており、その美しいムーブメントをしっかりと眺めることが出来ます。
実際に店頭で接客させて頂く場合にも、少しでも時計に興味のあるお客様でしたら、
皆さんバックスケルトンの時計は必ず裏を見られます。
裏からムーブメントを見て、他の時計と比較したくなるんですよね。
で、”かなり時計好き”というお客様の場合、
ルーペを持って、ムーブメントをしっかりと見はじめます。
我々販売員も初めてランゲのムーブメントを見た時は、感嘆しながらルーペを取り出して隅から隅まで眺めたものです(笑)
ムーブメントを見た際に最初に目がいくのは、ビス止め式のゴールドシャトン(注2)ですね。
人工ルビーにゴールド製のリング(シャトン)をかぶせ、3点もしくは2点のブルースチールのネジで固定しております。
ルビーだったり、18Kシャトン、ブルースチールのネジがムーブメントに使われていて、綺麗だなぁと思うものは他メーカーでももちろん見ることがありますが、ランゲでは、ネジ穴やほぞ穴までキレイに整備された所に、美しいブルースチールのネジが入っております。
丸いほぞ穴はきれいな真円に掘られ、角の所までしっかりと面取りされ、なめらかに仕上げられている・・・正直、これだけで感動してしまうレベルです。
ビス止め式ゴールドシャトン

この美しいシャトンのビス止めには、どんな意味がありますか?

工作制度の高い現代では必要不可欠な技術ではありませんが、ランゲでは純粋に伝統工法と美観のため「ビス止め式ゴールドシャトン」を現代でも採用しています。
少し詳しくご紹介させて頂きます。
ご興味ある方は、クリックしてご覧ください。
また、この「美しさ」は複雑系の機械になればなるほど、伝わりやすいと思います。
例えばクロノグラフムーブメントは分かりやすいです。
今店頭で見て頂くなら、1815クロノグラフ。
この辺りを裏から見た時は、格別に綺麗だと思います。ほんと凄く綺麗です!
それは3大時計と呼ばれる「パテック・フィリップ」や「ヴァシュロン・コンスタンタン」「オーデマ ピゲ」などの高級時計と比較しても、その仕上げのフィールドは、一段も二段も上にあるクオリティだと感じてしまいます。
仕上げへのこだわり
A.ランゲ&ゾーネでは、4分の3プレート等、
ムーブメントの素材に洋銀(ジャーマンシルバー)が使用されています。
一般的にスイス時計では真鍮が使用されており、ここは大きな違いの1つだと言えます。
この洋銀の素材を使用するメリットは、なんと言っても「見た目の美しさ」でしょう。
画像出典:公式ホームページより
素材(洋銀)へのこだわり
そして、もっとも美しさが際立つのが、
「ハンドエングレービングが施されたテンプ受け」です。
画像出典:公式ホームページより スワンネック付きのハンドエングレービング入りテンプ受け
こういう装飾って、スイス時計にはそうそうなかったんですよね。
もちろん高級なものにはありますよ。でもエントリーモデルや普通のモデルには無いんですよね。
ランゲのこの「ハンドエングレービングが施されたテンプ受け」は、5,000万、6,000万円する超ド級の複雑時計はもちろん、エントリーラインの200万円台のものにまですべてに施されています。
(ちなみに安いものと高いものの金額差は「手のかけようが違うから金額も違う」という事なんです)
「やっぱり時計って手作業が大事なんですよ」っていう、A.ランゲ&ゾーネが伝えようとしているものが、ここに凝縮されているような気がします。
これは、見た目にハッキリとわかるブランドからのメッセージですよね。
ハンドエングレービングへのこだわり
一般的な腕時計のムーブメントは加工しやすく色の変化が少ない真鍮製ですが、ランゲでは真鍮より強度や美しさに優れた「洋銀」を用いています。
洋銀はジャーマンシルバーと呼ばれ、銅と亜鉛、ニッケルの合金で、強度に優れ、メッキ処理を行わなくても表面が美しい明黄色(めいこうしょく)に輝きます。
表面加工を行わないため、組み立てには細心の注意が必要となり、一部のブランドしか使用されていません。
高級懐中時計で使われていた軸受石の固定方法です。ルビーなどの軸受石をプレートに直接埋め込まず、ゴールド製のリングをかぶせ3点または2点のネジで固定します。
石の位置決めや傾きが調整しやすくなります。工作制度の高い現代では、必要不可欠ではありませんが、ランゲでは伝統を重んじる「ビス止め式ゴールドシャトン」が採用されています。
ちなみに、トゥールビヨンの軸受石だけはダイアモンドを使用しています。今のランゲの腕時計では、受け石にダイアモンドを使っているのはトゥールビヨンだけになります。
A.ランゲ&ゾーネのこだわり
A.ランゲ&ゾーネの創業年は1845年なんですけど、
そこから今につながる中で生まれたランゲならではの伝統的な技術があります。特に創設者のフェルディナント・アドルフ・ランゲさんが考案したいくつかの技法は、今もグラスヒュッテの時計メーカーの根幹と言えます。
機械の美しさの所でご紹介させてもらった「洋銀製のパーツ」や「ビス止め式のゴールドシャトン」「テンプ受けのハンドエングレービング」以外にも「4分の3プレート」や「ムーブメントの二度組」などがあります。
まずはドイツウォッチ(グラスヒュッテ エリア)の技法として、他メーカーでも多く採用されているのが、「4分の3プレート(注3)」です。
画像出典:公式ホームページより 4分の3プレート
ムーブメントの写真を見て一番に気になるのが、ムーブメントの大半を覆っているプレート部分になるかと思います。このプレートがムーブメントの約4分の3を覆う大きさであることから「4分の3プレート」と呼ばれています。
これは創設者のフェルディナント・アドルフ・ランゲが考案したもので、輪列(歯車の集まり)全体を、一枚の丈夫な受け板で支えることで、ムーブメント全体の安定性や堅牢性を高めております。
こちらはA.ランゲ&ゾーネの本社にありますミュージアム内に展示されている、
昔の懐中時計の写真になります。
昔の懐中時計(ファクトリーツアーより)
フェルディナント・アドルフ・ランゲさんが試行錯誤の上に、開発された4分の3プレートが当時から使われているのをご確認いただけると思います。
4分の3プレート
故障の少なさ
続きまして、故障の少なさの元となっているのでは?と考えられる、ランゲ独自のこだわり
「ムーブメントの二度組」についてご紹介させて頂きます。
一つの時計を完璧なものにするために、A.ランゲ&ゾーネでは、3針時計でも複数の複雑機構を搭載したモデルでも、すべての商品で、一旦組み立てたムーブメントを分解して、再度組み立てし直します。
つまりは、2回組み立てを行うんです。
1度目の組み立ては仕上げを施していないパーツで行われ、組み立て後、5姿勢ぐらいの精度で動作状況を確認をします。ここで不具合なく細部までの微調整が完了すれば、一旦分解し、それぞれのパーツに極上の仕上げが施されます。
そして美しく仕上げられた部品を使って2度目の組み立てが行われます。
コンプリケーションのような複雑時計は、他社でも二度組をすると思うんですけど、
ランゲはエントリーモデルでさえも二度組を行っております。
これには大変な手間と時間を必要としますが、すべてのムーブメントで実施されております。
ムーブメントの二度組
A.ランゲ&ゾーネの凄いところは、ここまでに紹介した技法やこだわりを、
「すべての製品に反映している」という所ではないでしょうか。
これが、他のスイスブランドで見ていくと、もっと合理的な考え方のブランドが多いんじゃないかと思います。
値段の高いモデルに関しては、最高の仕上げと作りにこだわってきっちり作り込むのは当然ですが、
エントリープライスになるとエントリーなりに、中レベルになると中レベルなりに・・・、
という形で、仕上げや作り込みに対するこだわりがA.ランゲ&ゾーネに比べると少し違うような気がします。
ランゲは、二度組や素材に対するこだわり、テンプ受けのエングレービングなんかも300万円前後のスタートラインからですし、5,000万、6,000万のもの(ミニッツリピーターやトゥールボグラフ)辺りと比べても作り方は一緒なんですよね。
値段に関わらず材料は一緒ですし、二度組も一緒。
じゃあ値段の差はどこに?となるのですが、パーツ数が違うのと、組み立てにかかる時間が違います。
もちろん組み立てる人(技術者)も多分違うと思うんですけど、でもやり方は全く一緒なんですよね。
そして実際仕上げ方が全く一緒という所も、本当にすごいなぁと感じる所です。
「A.ランゲ&ゾーネのこだわり」は、すべての製品に反映されております。
ここまでこだわって作り込んでいる製品ですから、やはり故障に関しても少ないんです。
ある時に社内で「ランゲって故障少ないですよね」って話で盛り上がったことがあるのですが、
その時はあくまで体感的な話で、ほんと仕事の合間にその話題でちょっと盛り上がった感じでした。
ですので、詳しくデータを取ったわけではないのですが、その時は確かにスタッフの皆に共通して、故障が少ないという認識があるということに驚きました。
もちろん複雑な機械式時計の多い高級時計ブランドですから、まったく故障しないなんて事はあり得ないですし、購入後すぐに調整が必要になるようなケースも、もちろん過去にはありました。
ただ、致命的な故障は、本当に少ないなという印象です。
今回ブログを書く際に、改めてお預かり修理の状況を、過去2年ぐらい遡って確認してみたのですが、定期的なオーバーホールや、しばらく使った後(4,5年以上)での針ズレだったりと、まぁ、機械式時計なんだからそれは仕方がないかなというレベルの修理が多かったです。
※もちろん一部、比較的早い段階で調整が必要になったものもございました。
アイアイイスズでは、A.ランゲ&ゾーネの販売に関しては、過去に国内で1位の実績を出していましたから、決して販売本数が少ない店舗という訳ではありません。それでもここ2年の修理のお預かり本数は、同じ高級時計ブランドと比較して、やっぱり少ないなという印象でした。
一番は、すべての製品で二度組を行っている事が、根底にあるんだと思いますけれども、
ドイツの人々の気質も製品づくりに大きく影響しているのかなと思います。
やっぱり几帳面な感じが時計からも伝わってきますしね。
そんなこともあって、やっぱり数千万円以上の時計を販売する時には、売り手側の都合でいっても
A.ランゲ&ゾーネを販売しておけば大丈夫って安心感があるんです。
ここならそんなに壊れないんじゃないか、と。
超複雑時計ですから壊れるという事は、ある意味、大前提なんですけどもね。
こうしたことは、あくまでも販売店側の都合なんですけど、お客様にとってもそこまで販売店が太鼓判を押すなら、と安心してご購入して頂けるのではないかと思っております。
フェルディナント・アドルフ・ランゲが20年以上の歳月をかけて開発した理想的なプレート構造。
スイス製時計の多くは輪列を複数のパーツで固定していますが、4分の3プレートは輪列全体をひとつのパーツで挟み込むことで、安定性や堅牢性を高めています。今ではグラスヒュッテ伝統のプレート構造として、他のドイツ時計でも採用されています。
モデル紹介
それではここからは、各コレクションの紹介をさせて頂きます。
ランゲ&ゾーネのモデルは、全部で6つのファミリーに分かれます。
ランゲ1
1994年にA.ランゲ&ゾーネの復興コレクション第一弾として発表された4モデルのうち、最も注目を集め、A.ランゲ&ゾーネのアイコンともいえる製品が「ランゲ1」です。
サクソニア
ランゲの故郷である「ザクセン」のラテン語読みをモデル名としております。
バーインデックスのモデルを、基本的にサクソニアに分類しており、オーソドックスな2針からハイエンドモデルまで、幅広いコレクションが魅力です。
1815
A.ランゲ&ゾーネの創業者である「フェルディナント・アドルフ・ランゲ」の生誕の年がモデル名の由来になったのが、1815モデルです。
インデックスにアラビア数字が使われているのが特徴です。
ツァイトヴェルク
2009年に発表されたこちらツァイトヴェルクですが、ドレスデンにあるゼンパー歌劇場の五分時計のデジタル構造を腕時計に転化させたモデルです。
フェルディナント・アドルフ・ランゲと師匠であるグートケスの功績をオマージュしたモデルになります。
リヒャルト・ランゲ
科学者としての功績も非常に高い、フェルディナント・アドルフ・ランゲさんの長男である「リヒャルト・ランゲ」さんへのオマージュとして開発されたのが。こちらのシリーズになります。
オデュッセウス
ランゲとして初めて、12気圧という高い防水性を発揮する、アクティブシーンに着けて頂ける時計として今に至っております。
それでは順番にご紹介させて頂きます。
ランゲ1
1994年にA.ランゲ&ゾーネの復興コレクション第一弾として発表された4モデルのうち最も注目を集め、A.ランゲ&ゾーネのアイコンともいえる製品が「ランゲ1」です。
画像出典:公式ホームページより ウォルター・ランゲ ― A.ランゲ&ゾーネの復活
ランゲ1のデザインで1番の特徴と言えるのは「アシンメトリー(左右非対称)」であることです。
今では多くの他メーカーにも影響を与えており、特にドイツウォッチでは、1つの定番デザインになっていると思いますが、このランゲ1がオリジナルなんです。
初めて見た時には、なんだこの配置は!シンメトリーじゃないのか?!という驚きと、機械はどういう作りになっているんだ???と思わされました。
幾何学的に計算されたこのデザインは、ドイツらしい質実剛健な気質や作り方もあいまって、華美な装飾が施されているわけではないんですけど、一度見てしまうと凄く気になってしまう、そんな存在なんです。
例えるなら、
特に着飾って 私キレイでしょう! みたいな感じではないんですけど、
すっとした美人なんだけど、そんなに化粧もしていない、ほんと 自然な天然美人さん、そんなイメージじゃないかと個人的には思っています(笑)
そして、ランゲの代表的な日付表示である「アウトサイズデイト(注4)」もポイントです。
他メーカーよりもおおよそ3倍近くの大きさがあり、視認性がすごく高いのが特徴になります。
そして、これは実際に腕に着けてもらうと分かるんですが、時計を見る動作をしてもらうと、袖から見た時に丁度「日付」が見えるんですよね。
ワイシャツの袖って真っすぐじゃなくて斜めなんですよね。
その斜めの部分から、ちょうど「日付」だけがみえる角度で出てくる。
「おっ!」って思いますし、これ凄い!って思わず感嘆してしまいます。
更に、時計を出したら時間がみえるという、細かく計算されたバランスがすごくカッコいいなぁと思います。
ちなみに弊社のバイヤーが惚れ込んでしまったのは、まさしくこの部分だそうです。
あまりにも熱く話されるので、その影響を受けてしまい、私も「ランゲ1」押しの時計スタッフの一人です(笑)
後、今ではロングパワーリザーブが主流になってきているので、そこまでポイントにならないかもしれませんが、72時間のパワーリザーブ、それと見やすい「アウトサイズデイト(注4)」などの普段使いしやすい機能が当たり前のように付いており、ビジネスシーン等で使いやすく適した時計なんだろうなって思います。
ドレスデンのゼンパー歌劇場にある有名な「五分時計」をお手本に作られたA.ランゲ&ゾーネの「アウトサイズデイト」
通常の時計と比べておおよそ3倍の大きさになっております。視認性の高さとボタン一つで日付の変更が出来る利便性など、とても優れた特徴的な機構です。
ランゲ1のモデルはこちらになります。モデル別にご紹介していきますね。
ランゲ1
ランゲ1の中でも最もオーソドックスなモデルがこちらで、1994年の発売以来、今なおベストセラー誇るモデルになります。
素材としては、ホワイトゴールドもピンクゴールド(PG)も、売上に関しては甲乙つけがたく、納品までに少しお待ちいただくことが多いです。また、ランゲ1は2015年にムーブメントが一新され、第二世代に進化しております。新型のムーブメントは素直な輪列になっている印象で、日付が午前0時で、瞬時に切り替わるようになりましたね。
リトル・ランゲ1
通常のランゲ1も、38.5mmと比較的小ぶりで、日本人の腕にジャストサイズと言われておりますが、同じランゲ1の中でも、さらにケース径が小ぶりなモデルが「リトル・ランゲ1」になります。
リトル・ランゲ1の文字盤は、ギョーシェ彫りという非常に美しい彫りが入っているのが特徴で、そのため文字盤の素材には18金が使われております。一般にランゲの文字盤はシルバーを使用しておりますので、こちらはリトル・ランゲ1の特徴といえます。
グランド・ランゲ1 (2021年に廃番)
対照的に、ランゲ1の38.5mmサイズでは小さいよというお客様のために、ケースサイズが41mmの「グランド・ランゲ1」という商品もありました。
ただし、こちらは残念ながら2021年に廃番になることが発表されました。
世界的にはしっかりと売れていたそうなので、今後リニューアルされて新しいモデルが登場すればいいなと願っています。
元々はこうした大きいケース径のグランド・ランゲ1もございました。
ランゲ1・パーペチュアルカレンダー
2021年に発表されたランゲ1・パーペチュアルカレンダーですが、こちら通常のランゲ1と何かが違うのですが、皆さん何が違うかお分かりになりますか?
実は、こちら右側に長針短針がきており、よく見て頂くとデザインが反転しています。
![]() ランゲ1 画像出典:Online LUXEより 191.039 |
![]() ランゲ1・パーペチュアルカレンダー 画像出典:公式ホームページより 345.056 |
以前にありました自動巻きの「ランゲ1・デイマティック」のムーブメントを改良したベースキャリバーが搭載されています。自動巻にするために輪列上、右側に長針短針を入れる必要があるという理由と、ランゲ1の計算されたデザインは反転させても美しいというデザイン的な観点も実証したかったという事もあります。
ランゲ1・ムーンフェイズ
続きまして、ランゲ1・ムーンフェイズになります。
当社でも非常によく売れております時計ですね。
実際、ご納品までに少しお待ち頂いております現状ですので、ご興味のある方はまずは、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
こちらもランゲ1同様に、ムーブメントが新しくなった2代目が2017年に発表されております。
実際、A.ランゲ&ゾーネでも、ランゲ1と並ぶベストセラーモデルだそうです。ホワイトゴールドのケースが黒文字盤で、ピンクゴールドのケースはシルバー文字盤になります。
リトル・ランゲ1・ムーンフェイズ
さらにこちらはリトル・ランゲ1・ムーンフェイズで、ケースサイズの小さなモデルでも、ムーンフェイズのタイプがあります。リトル・ランゲ1同様、PGケースモデルは文字盤にギョーシェ仕上げが施されて、非常に美しい文字盤になっています。
また、ムーンフェイズのディスクも文字盤との統一感がある色合いになっており、本当にエレガントな時計だと思います。
グランド・ランゲ1・ムーンフェイズ
それから、ケースの大きなグランド・ランゲ1にも、ムーンフェイズのモデルがあります。
こちらの「グランド・ランゲ1・ムーンフェイズ」はケース径が41㎜になります。
また大きさだけでなく、ムーンフェイズの配置も他のモデルと異なり、時間の下にあります。
ある意味、この時計は「月が主役」という主張が感じられますね(笑)
こちらは、グランド・ランゲ1のシリーズですが、まだ製造されておりますので、ご興味のある方はご連絡ください。
ランゲ1・タイムゾーン
こちらは、2020年にニューモデルが発表された「ランゲ1・タイムゾーン」です。
機能的にも随所にユーザビリティが感じられ、デザインと機能のバランスが絶妙なモデルです。
ランゲ1 トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー
こちらがランゲ1のラスボスになります、「ランゲ1 トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー」です。文字盤側でなくシースルーバック越しにトゥールビヨンを覗くという、ムーブメントが世界でもっとも美しいと言われるA.ランゲ&ゾーネにふさわしい、ド級のランゲ1です。
サクソニア
「サクソニア」は、かつてのザクセン王国(現ザクセン州)をラテン語読みしたもので、ランゲの故郷の名前がそのままモデル名になったシリーズです。
こちらのシリーズは、シンプルなモデルからクロノグラフや、パーペチュアル・トゥールビヨンなどのド級モデルまで、かなりバリエーションが豊富なんですが、基本的に、文字盤にバーインデックスを採用したモデルをサクソニアに分類しています。
元々は、こちらも1994年の、A.ランゲ&ゾーネ復興コレクション第一弾として発表された4モデルのうちの一つになります。
その中でも、最もシンプルで洗練された、非常に美しいコレクションだと思います。
また、サクソニア(35mm)は、ランゲの中ではエントリープライスになりますが、ブログの最初に紹介させて頂いた
- 洋銀製のパーツ
- ビス止め式のゴールドシャトン
- テンプ受けのハンドエングレービング
- 4分の3プレート
- ムーブメントの二度組
- チラネジテンプ
など、ランゲ&ゾーネのこだわりは、エントリーモデルにも、しっかり詰め込まれております。
全てのモデルで一切手を抜かない、そのランゲの姿勢は改めて凄いなと感心させられます。
サクソニアの代表的なモデルはこちらになります。
サクソニア
サクソニアの中でも、ベストセラーの商品が、こちらのに35mmの「サクソニア」です。
価格的に一番手が届きやすいのも魅力ですが、クラッシックモダンでシンプルなデザインも人気の秘密です。
ピンクゴールド、ホワイトゴールド問わず、非常に人気のあるモデルです。
サクソニア・オートマティック
またサクソニアには、オートマティックのモデルもあります。
シルバー文字盤のオーソドックスなサクソニア・オートマティックは、ホワイトゴールド、ピンクゴールド両方で生産されており、入荷数もまだまだ少なく希少なモデルです。
サクソニア・アウトサイズデイト
それからこちらは、サクソニア・アウトサイズデイトです。
オートマティックの中でも、見やすいアウトサイズデイトがついた時計になります。
黒文字盤のモデルが廃番になり、ビジネスシーンでもとても映えるシルバーの文字盤が、今後の主力とになります。
サクソニア・フラッハ
海外ではサクソニア・シンと呼ばれているこちらのモデルは、日本では、サクソニア・フラッハという名前がついています。
近年ゴールドストーンと呼ばれる銅のパウダーを流し込んだベネチアンガラスの製法で作られた文字盤のモデルは、人気モデルです。現在もかなりお待ちただいているような状況ですので、ご興味ある方はぜひお問い合わせください。
また、オーソドックスな文字盤のモデルは37㎜のケースサイズで日本人にはジャストサイズと言われています。
ホワイトゴールド、ピンクゴールドでシルバーの文字盤があり、どちらも非常によく売れてまして、ベストセラーのひとつになります。
サクソニア・ムーンフェイズ
更には、サクソニア・ムーンフェイズです。
こちらはランゲの代表的な機構であるアウトサイズデイトに、ムーンフェイズが6時位置にあしらわれた時計です。
時計メーカーごとに、ムーンフェイズは様々な種類がありますが、ランゲのムーンフェイズも色合いや星の数など、他社からも一目おかれる素晴らしいクオリティだと思います。
モデルとしては、ピンクゴールドのシルバー文字盤、黒文字盤はともに、お客様からのお問い合わせが多い印象です。
サクソニア・アニュアルカレンダー
ランゲでは、サクソニアと1815でアニュアルカレンダーが制作されていますが、サクソニアが自動巻きで、1815が手巻き…と同じ機構でも2つのムーブメントタイプがあります。
こちらサクソニアのアニュアルカレンダーは2010年のモデルで、既にプラチナ、ホワイトゴールドが廃番になっており、今後ピンクゴールドのモデルも廃番になる可能性が高いモデルだと思います。
こちらのムーブメントではマイクロローターが使われているんですけど、マイクロローターは小さいものが多いため、片方向の回転でしか巻き上がらない通称「片巻」が多いんです。
ところが、ランゲの「4分の3スケールローター」はマイクロローターにも関わらず、どちらの方向にローターが動いても巻き上げてくれる「両巻」なんです。
ご自身で持っていらっしゃるワインダーでも、巻く方向を気にせずご利用いただけるので、非常に使いやすいアニュアルカレンダーだと思います。
サクソニア・デュアルタイム
こちらは2本の短針で、異なる二カ国の時間をあらわしてくれるデュアルタイムのモデルです。
シンプルなサクソニアらしいデザインが、こちらの時計の一番の魅力ではないでしょうか。
ダトグラフ・アップ/ダウン
バーインデックスのモデルは、現在サクソニアシリーズに統一されておりますので、
ランゲを代表するダトグラフもサクソニアのシリーズに入っています。
全ての時計メーカーを見渡してもここまで素晴らしいクロノグラフは、他に見当たらないんじゃないでしょうか。
ダトグラフ・パーペチュアル
ダトグラフに、永久カレンダーのモジュールを文字盤側に載せた、ダトグラフ・パーペチュアルカレンダーです。
ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン
さらにはそのダトグラフパーペチュアルの裏に、トゥールビヨンを搭載したド級モデル、ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨンも2016年に発表されております。
これはトールビヨンの機構が非常に大きいため、通常のダトグラフの輪列を、少し凝縮させないといけないという事で、最終的に1から開発しなおされたという逸話もあります。
ダブルスプリット
2004年に「ダブルスプリット」という時計が発表されました。
ダブルスプリットセコンドクロノグラフとはクロノグラフのクロノ針の秒針が2本に分かれるという機構で、一般にラトラパントとも言われます。
勿論、A.ランゲ&ゾーネ以外でも様々なメーカーから、この機構を積んだモデルは発表されています。
クロノグラフの秒針が2本あると、何が出来るかというと1分以内のラップタイムを計ったり、1分以内までの二人の時間差を測ることが出来ます。ただ、ランゲの時計では、
なんと30分積算計も2本(スプリット)にしたんです。
30分以内までのラップタイム、もしくは30分以内までの2人の時間差を測ることができるようになりました。ラップタイムを計る時間が大幅に伸びたんですね。
このダブルスプリットを発表した時点で、他社のスプリット機構を凌駕しておりました。
※ダブルスプリットはすでに生産終了しております。
トリプルスプリット
こちらのトリプルスプリットは、まさに究極のクロノグラフ機構を備えた時計の1つになります。
トリプルスプリットでは、秒針、30分積算計だけでなく、12時間の積算計までスプリットするようにしています。その結果、12時間までのラップタイムを計ることや、12時間以内までの2人の時間差を計ることが出来るようになります。
実際にこちらの時計で、計測する方は稀だとは思いますが、
その機構を開発出来る技術力が、A.ランゲ&ゾーネにはあるという事なんです!
ランゲ31
こちらはA.ランゲ&ゾーネの中で、一番パワーリザーブの長い時計で、名前のとおり31日間パワーリザーブになります。2007年の発売当初は、もちろん世界で1番長いパワーリザーブでしたが、現在は他社さんで31日よりも長いリザーブの時計が発表されています。
手巻きの時計をこれまでに使われたことがある方なら、なんとなく想像がつくと思うんですけど、2日巻のリザーブでも、巻き上げに何十回と回しますから、もしも、31日分をリューズで巻き上げるとすると、どれだけの回数を巻き上げるんだろう、それこそ指の皮が切れてしまうぐらい大変なんじゃないかなと心配してしまいます(笑)
もちろん、そんな大変なことはするはずもなく、
リューズはあくまで時刻あわせと、ストップセコンドのために使用します。
なので、こちらの時計には特殊な鍵がついており、それを裏の穴に差し込んで巻き上げます。
0:43~ 実際に巻き上げている所を見て頂けます
特殊な工具でひと巻きすると、おおよそ1日分が巻き上がります。
ですので、こちらの工具を使うと、すぐに巻き上げることが出来ます。
ただし、この特殊工具を無くさないようにだけ、ご注意ください(笑)
100本限定の商品ですが、おそらくまだ、全部を生産完了していないと思いますので、もしリクエストがあればご連絡ください。
一旦、メーカーに確認させて頂きます。
1815
創業者であるフェルディナント・アドルフ・ランゲさんの生まれた年である「1815年」が、モデル名の由来になっています。

画像出典:公式ホームページより フェルディナント・アドルフ・ランゲ氏
1815年、19世紀の初頭は、いわゆる産業革命の後期にあたり、1830年代にはドレスデンでも、鉄道が走り始めました。
そういった時代背景にインスパイアされ、文字盤のデザインにはレイルウェイモチーフの分目盛り(線路メモリ)があしらわれております。
また、ランゲの中では珍しいアラビア数字を使用しており、レイルウェイモチーフと合わせて、全体的にクラシカルかつ高級感のあるデザインのモデルが多い印象です。
1815
1815のラインナップの中で、1番オーソドックスなのがこちらの3針タイプになります。
1815の特徴であるアラビア数字とレイルウェイモチーフの分目盛りにブルースチールの針の組み合わせで、クラシカルな美しさが際立つモデルです。
1815 アップ/ダウン
A.ランゲ&ゾーネの中でも、美しい時計の1つとして紹介したいのが、こちらの1815 アップ/ダウンです。
4時位置(右)に秒針、8時位置(左)にパワーリザーブ(ぜんまいの巻上残量)のインジケーターがついています。
針の両サイドより、少し下にカウンターが配置されているんですが、A.ランゲ&ゾーネのロゴとのバランスも絶妙で、見事な美しさを醸し出しています。
昔の懐中時計に同じ様なデザインのモデルがあり、そちらをデザインのモチーフにして、この腕時計が開発されました。
また、シースルーバック越しに見えるムーブメントも見応えがあります。
こちらは4分の3プレートなんですが、ゴールドのシャトンの数がとても多く、見応えがあります。
A.ランゲ&ゾーネのムーブメントの美しさを存分に味わえるモデルの1つなんじゃないかなと思っています。
1815アニュアルカレンダー
A.ランゲ&ゾーネには、手巻きと自動巻きのアニュアルカレンダーが存在します。
こちらの1815アニュアルカレンダーは、2017年に発表された、手巻きのアニュアルカレンダーになります。
1年のうち3月1日だけ、カレンダー調整を行えば、翌年の2月末までカレンダーの調整が不要となる、便利な機構です。
手巻きのアニュアルカレンダーですから、パワーリザーブを極力長くしなければいけないということで、こちらは72時間(3日巻き)となっています。A.ランゲ&ゾーネの時計全般に言えることですが、本当にユーザビリティーを凄く考えて作ってくれております。
永久カレンダーやアニュアルカレンダーなどにおいて、もっとも手間になるのが、一旦時計を止めてしまった後、改めて着ける時のカレンダー調整が挙げられます。
こちらの手巻きのアニュアルカレンダーは、2時位置のプッシュボタンを押すと、日付、曜日、ムーンフェイズが全部一緒に動きます。
日付、曜日、ムーンフェイズを個別に合わせる必要がなく、さらにリューズ操作でなく、プッシュボタン一つで連動してカレンダーを合わせることが出来るというのは、本当に便利な機構です。
時計販売員として、永久カレンダーの時計で、リューズ操作で個別にカレンダーを合わせるという作業は、とても時間がかかりますし、さらには時折、指がつりそうになります(笑)
こちらの様にプッシュボタンで操作できるタイプは、ある意味“神”なのです!
ランゲの永久カレンダーでは、「テラルーナ」と言われる永久カレンダーを除いた、全ての永久カレンダーでメインプッシャーを押せば、日付、曜日、ムーンフェイズが、全部一緒に動く機構がついています。
これは本当に便利な機能でして、例えば1週間時計を動かしていなかったとします。
その場合、1週間分の7回ボタンを押せば、月をまたいでもカレンダーがリンクして動いてくれます。
実際に永久カレンダーでは他のメーカーさんでも、プッシャーで全部のカレンダーが連動して動くモデルはあります。
ただ、ランゲではアニュアルカレンダーにもこちらの機構がついているんです。
アニュアルカレンダーにこの機構がついたモデルは、おそらく他社さんでは存在していないと思います。
1815クロノグラフ
A.ランゲ&ゾーネを代表するモデルの1つに、サクソニアで紹介させて頂きました「ダトグラフ」がありますが、そのダトグラフから、デイト(日付)を省いて1815のクラッシックなデザインの中に、クロノグラフムーブメントを搭載したモデルが、この「1815クロノグラフ」です。
こちらもダトグラフに並んで、非常に人気の時計です。
1815 トゥールビヨン
A.ランゲ&ゾーネはトゥールビヨンに関しても、様々な新しい挑戦を行っている時計メーカーです。
2008年にカバレットトゥールビヨンというモデルで、ストップセコンド(リューズでの時間の調整時に秒針が止まる機能)付きのトゥールビヨンを開発しました。
トゥールビヨンは、ご存じのとおり、テンプがキャリッジと言われるゲージかごの中に入っています。
本来、ストップセコンドを行う時はテンプにレバーを当てて秒針を止めるのですが、トゥールビヨンではキャリッジが邪魔をするためテンプを止めることは行われておりませんでした。
ランゲは、独特のへの字型の特殊な形状のハックレバーを開発することで、リューズを引き出した際に「止まるトゥールビヨン」の具現化に成功しました。
その後開発された、ランゲのトゥールビヨンには、全てストップセコンドがついております。
さらにこの1815 トゥールビヨンでは、止まるだけでなく、ゼロリセットの機構がついています。
クロノグラフのリセット機構と同じく、リューズを引き出すと秒針がゼロにバシッと戻るという機構も併せ持つようになりました。
今では他メーカーからもゼロリセット機構を搭載したトゥールビョンが発表されていますが、ランゲが最初に特許を取得しています。
1815 ラトラパント・パーペチュアルカレンダー
こちらは永久カレンダーとラトラパントのクロノグラフの複合モデルになります。
複雑時計らしい表の表情と、裏から見た際の見応えのあるムーブメントの美しさをあわせ持つ、本当に魅力的な1本です。
トゥールボグラフ・パーペチュアル“プール・ル・メリット”
こちらは、トゥールボグラフ・パーペチュアルになります。
名前に、“プール・ル・メリット”とついておりますので、こちらの時計も“鎖引きの機構”がついています。
鎖引きだけでなくトゥールビヨンもついており、さらにはラトラパントのクロノグラフ、そして永久カレンダーもついてるという現行のA.ランゲ&ゾーネの中では、グランドコンプリケーションについで、複雑な時計の1つになります。
あまり知られていないのですが、僅かながらステンレスのモデルが過去に存在しております。
そのモデルは、オークション市場をにぎわすレアピースになりました。
そんな裏話にご興味ある方は、こちらをクリックしてご覧ください。
ツァイトヴェルク
画像出典:公式ホームページより
創業者のフェルディナント・アドルフ・ランゲさんがお師匠さんと一緒に開発したドイツのゼンパー歌劇場にあります「五分時計」へのオマージュとして開発された時計が「ツァイトヴェルク」です。
画像出典:公式ホームページより 客席から見た舞台上方の現在の五分時計
ツァイトヴェルクは機械式時計ですが、デジタル表記で時間を表示してくれる時計になります。
機構としては、それぞれに独立した3枚のディスクを回転させることで、時間を表示します。
画像出典:公式ホームページより
元々は「ゼンパー」という名前で発売する予定だったのですが、既に違うカテゴリーで商標登録されていた為、現在の「ツァイトヴェルク」に変更されました。
英訳するとタイムワーク、時の働きや時の活躍といった意味で、日本語訳だと「時の機構」言い方をしております。
今となっては、「ツァイトヴェルク」は本当にしっくりとくる名前なんじゃないかなと個人的には思っています。
ツァイトヴェルク・デイト
2009年に発売された「ツァイトヴェルク」ですが、一番シンプルなパワーリザーブ付きのモデルは、残念ながら廃番になってしまいました。
それと入れ替わるように2019年に発表されたのが「ツァイトヴェルク・デイト」です。
デイト機構が搭載され、より使いやすいように進化しています。
右下と左下にプッシュボタンが設置されております。
左下のプッシュボタンは、時刻表示のディスクを早送りするためのボタンで、こちらのボタンを押すと、7時と表記している時間だけが、8,9,10と単独で進むようになっています。その結果、時刻合わせが凄く簡単になりました。
また、右下のボタンは、カレンダーの早送りになります。
A.ランゲ&ゾーネのムーブメントでは、基本「22時ぐらいから、午前2時ぐらいまで その間は日付の早送りをしないでくださいね」という、日付の早送りに関する危険時間帯というものが存在しますが、こちらのモデルには、その危険時間帯がありません。
今回さらに、ユーザーフレンドリーな仕様へと変更されております。
更に、ムーブメントの仕様変更についてもご紹介させて頂きます。
「ツァイトヴェルク」には、「ルモントワール」というもの凄い機構が搭載されております。
こちらの時計は、3枚のディスクを動かすことで時間を表しますが、実際のディスクは大きさもあるため、動かすにはかなりのトルクが必要になります。
2009年に発表された時点では、主ゼンマイの厚みが2.4mmとかなり分厚いゼンマイが入っていました。
主ゼンマイが分厚くなると、反発力が強くなりトルクは強くなるのですが、その反面、強いトルクは暴れ馬の様なものですから、それを制御する必要があります。
こちらのムーブメントでは、秒針が60にきた瞬間にディスクが切替わるんですが、その際にファンが力を吸収するんです。
1分ごとにパワーをためて吐き出して、また1分でパワーをためて吐き出してという事を繰り返しており、その結果トルクが安定しております。
この「ルモントワール」という機構は、トルクを調整することで精度を安定させるだけでなく、ディスクの切り替えにも作用している素晴らしい機構です。
2009年の時点では、主ゼンマイに厚みをしっかりもたせたため、パワーリザーブの時間が38時間と短かったのですが、今回はツインバレルに改良され、パワーリザーブも72時間に変更されています。
また、振り角に関いても少し角度を落とすように調整するなど、ムーブメントについてもよりよく改良が施されています。
ツァイトヴェルク・ストライキングタイム
機械式時計において、通称“鳴りモノ”と言われる音を奏でる時計は、非常にめずらしくかつ、特別なものの1つです。
こちらの「ツァイトヴェルク・ストライキングタイム」は、毎15分ごとに右側のハンマーで一回だけチーンと鳴らしたり、毎正時に左側のハンマーで一回だけチーンと鳴らしてくれるという、音で時間を知らしてくれる機構がついています。
ツァイトヴェルク・デシマルストライク・ハニーゴールド
こちらもストライキングタイム同様に、音で時間を知らしてくれる時計になります。
デシマルとありますので、いわゆる「10進法」になります。
10分ごとに右のハンマーがチーンと鳴り、毎正時には左のハンマーが一回だけチーンと鳴る仕組みになっています。
10分ごとに一回だけ時間を知らせるという機構も出てきました。
ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター
こちらは「究極のツァイトヴェルク」と呼ばれております「ミニッツリピーター」搭載のモデルです。
一般的なミニッツリピーターとは少し違う、デシマル(10進法)のミニッツリピーターなんです。
通常ミニッツリピーターは、3つの音色を使って音で時間を知らせてくれます。
例えば7時52分を普通のミニッツリピーターで知らせる場合、
まずは「時間」を知らせる音色で、チーン、チーン、チーンと7回鳴って7時を知らせます。
その次に「15分単位」を知らせる音色で、チチン、チチン、チチンと連打するように3回鳴ります。(一回が15分なので、15分×3で45分を表します)
最後に、15分に満たない残り分数を知らせる音色で、チン、チン、チンと7回鳴って、45分に7を足して52分という時の知らせ方になります。
ツァイトヴェルクは、時刻をデジタル(数字)で表記しますので、10進法の方が視覚的にもリンクしやすいという事で、10進法のミニッツリピーターとなっています。
ツァイトヴェルク・ミニッツリピーターで、7時52分を知らせる場合、最初の「時間」を知らせる所までは同じで、チーン、チーン、チーンと7回鳴って7時を知らせます。その後、5回チチン、チチン、チチンと連打するように鳴ります。イコール10分×5回で「50分」を表します。
最後に、チン、チンと2回鳴って、50分+2分で、52分を知らせる、特別なミニッツリピーターです。
公式サイトのyoutubeでツァイトヴェルク・ミニッツリピーターの音色を聞くことが出来ます。
美しい音色をぜひ、聞いてみてください。
(1:50辺り~)
リヒャルト・ランゲ
画像出典:公式ホームページより
こちらのシリーズは、創業者の長男であり、素晴らしい科学者でもあり、時間計測技術の発展に先駆的役割を果たしたリヒャルト・ランゲさんに捧げるオマージュとして開発されました。
デザイン的な特徴としてはローマンインデックスを使用している点です。
このシリーズのベースになっているのは、A.ランゲ&ゾーネがかつて製作した「科学観測用デッキウォッチ」です。
画像出典:公式ホームページより 大型高性能観測用デッキウォッチの写真
18世紀および19世紀には航海や科学観測において、高精度で視認性に優れた時計が欠かせませんでした。
A.ランゲ&ゾーネはその目的に適う時計を開発し、ツェッペリンの飛行船工場をはじめ多くの研究機関から関心を集めました。
リヒャルト・ランゲのシリーズは、この「科学観測用デッキウォッチ」という歴史あるジャンルを現代に蘇らせたシリーズになります。
リヒャルト・ランゲ
2006年に発表されたこちらのモデルは、A.ランゲ&ゾーネでは珍しいセンターセコンドの時計になります。
ランゲのムーブメントは基本、古典的なムーブメントの輪列が多く、それにちなんだスモールセコンドのモデルが圧倒的に多いブランドです。
そんな中、こちらは貴重な一本になります。
ムーブメントの特徴として、自社製のひげゼンマイを使用し、緩急針を持たないフリースプラングテンプ(自由振動ヒゲ)には、通称ジャイロマックスと呼ばれる編成式のマスロット(テンワ)が搭載されております。
こちらのリヒャルト・ランゲが発表されたのは2006年なのですが、この当時は時計業界全体が超複雑なコンプリケーションムーブメントをどんどん制作していた時代です。ある意味、時計バブルな時代だったと思います。(2008年のリーマンショックが起きるまでは)
この年ランゲも、ダトグラフ・パーペチュアルという1つの複雑時計を世に送り出しているのですが、そんな中でシンプルウォッチの製作にも取り組んでいました。
A.ランゲ&ゾーネが誇る「ダトグラフ」のクロノグラフムーブメントをベースキャリバーに、誤魔化しのきかない中で、精度を突き詰めていきます。
ランゲの職人たちも、コンプリ合戦の中で、シンプルウォッチを作ることに嬉々として取り組んだそうです。そのためシンプルな時計でどうやれば精度を高めていけるかという事を、とことん突き詰めています
なのでこの時計、ちょっと不便に思われるかもしれないですけど、通常は50時間ぐらい巻き上げるような長いひげゼンマイを備えているにも関わらず、わざと38時間という短いパワーリザーブになってます。
これ、実は「巻き止まり」と「振り切り止り」がありまして、竜頭を巻いていった時に、ゼンマイをMAXまで巻いたトルクの強すぎる所を使わないために、途中で巻き上げれなくなる「巻き上げを止めてしまう機構」が入っています。
さらにはもう1つ「振り切り止り」というものがついておりまして、歯車がゆっくりと回っていく中に1ヵ所だけくぼみがあるんですけども、そこにレバーが食い込むと、強制的に機械を止めてしまうんですね。
通常トルクはゼンマイがほどけていくに従って、徐々に徐々に弱まっていくと思うんですけども、トルクの強すぎる部分と弱すぎる部分を外して、その間の精度が安定しやすい部分だけを使って時計を動かすという、非常にユニークな構造になっております。
この時計の面白い所は、強制的に時計を止めているのでリューズを巻いたらすぐに時計が動く点なんです。
あまり他社でも見られない、非常にユニークな機構がついています。
リヒャルト・ランゲ “プール・ル・メリット”

画像出典:公式ホームページより 260.028
それ以外にもリヒャルト・ランゲ、プール・ル・メリットという、こちらは鎖引きに特化した、プール・ル・メリットですね。
シースルーバック越しに鎖の動きが凄くよく見えますので、マニアックですがムーブメント好きな方には、非常に満足頂ける時計だと思います。
シンプルな外観からは分からないんですが、裏を見たら鎖引きがついている超ド級の時計なんだ・・・っていう、奥ゆかしさのある時計ではないでしょうか。
リヒャルト・ランゲ・トゥールビヨン“プール・ル・メリット”
こちらの時計の特徴は、左下のスモールセコンドにトゥールビョンが搭載されており、トールビョンのキャリッジがそのまま秒針になっています。
さらにはプール・ル・メリットですから、鎖引きもちゃんと入っていますから、こちらも素晴らしいド級の腕時計になります。
あと面白いのは時間のディスクなんです。
写真では、時刻は10時10分を示しています。
この時間帯では、この8時、9時、10時のディスクが見れるのですが、12時を過ぎて、そこから6時までの間は、この8時、9時、10時のディスクが見えなくなり、トゥールビヨンの全貌を見て頂けます。
更に6時を越えると、また8時、9時、10時のディスクがガチャっと出てくる特別な仕組みになっています。
リヒャルト・ランゲ・パーペチュアルカレンダー “テラ・ルーナ”
表は永久カレンダーなんですけども、裏には太陽と地球と月の位置関係を見ることができるという、壮大な天文時計が、シースルーバック越しに見ることが出来ます。
こうした星の動きを再現する天文時計は、現在では本当に少なくなりましたが、科学者や天文学者が挑戦を続けた、壮大で長い歴史を感じることが出来ます。
オデュッセウス
画像出典:公式ホームページより
もっとも新しいシリーズが、こちらのオデュッセウスになります。
初めて、A.ランゲ&ゾーネのレギュラーモデルとして、ステンレススチールの素材を登場させました。
40.5mmのケース径に、ランゲとしては初めて12気圧という非常に高い防水性を具現化させています。
さらに振動数もランゲは今までは18,000振動(5振動)か21,600(6振動)のいずれかだけだったんですけども、ランゲで初めての8振動モデルになります。ランゲの中では振動数の高くして、スポーティーな仕様に耐えうる時計作りになっています。
残念ながらステンレスのモデルは、ブティック限定になったため、我々アイアイイスズでは取り扱い出来ませんが、とてもよい時計の1つだと思います。
ただ、ホワイトゴールドのモデルにつきましても、国内だけでなく世界中で、とんでもない数の受注が入っているそうです。
※現在、わたくしどもアイアイイスズでもご予約の受付は行っておりません。
スペックとしては、日付だけでなく、曜日が左側についており、バランスの良いデザインが特徴です。
防水性を考えてデザインされたケースサイドのプッシュボタンは、上が日付、下が曜日の早送りを行います。
自動巻のローターも合金とプラチナと回転効率を高める素材への工夫が行われており、またテンプのブリッジも両サイドで受けるようになっていますので、より普段使いしやすい形状を施しております。
ドイツが誇る世界最高峰の高級時計メゾン
A.ランゲ&ゾーネ の歴史
始まりは、宮廷時計師の弟子として
A.ランゲ&ゾーネの創業者はフェルディナント・アドルフ・ランゲと言う人物です。
彼が生まれたのが1815年なのですが、A.ランゲ&ゾーネのファミリーの中に彼の生誕年が由来になった「1815」と称されるモデルがあります。

画像出典:公式ホームページより フェルディナント・アドルフ・ランゲ氏
フェルディナント・アドルフ・ランゲ氏は少年の頃から非常に聡明な子供でした。
そのため、母親が何か技術や知識を身に着けてあげたいと言うことで、のちにザクセン王国の宮廷時計師となるグートケスの弟子になります。
それがフェルディナント・アドルフ・ランゲ15歳、時計師としての人生の始まりでした。
彼はグートケスの元でもメキメキと才能を発揮しました。
かわいい子には旅をさせろということではないですが、師匠であるグートケスの紹介文を手に、その当時の時計先進国であった国々を訪ねます。
フェルディナント・アドルフ・ランゲはイギリスやフランス、はたまたスイスと言った国で時計製造技術であったり、時計の工作の技術、更には細かい時計で必要となる振り角や数字の知識まで、自身で様々に勉強してグートケスのもとに戻りました。
このときフェルディナント・アドルフ・ランゲが携えた、グートケスの紹介文入りの手帳があります。
「旅の手帳」
「旅の手帳」と呼ばれ、私どもの店舗にもレプリカが置いてありますが、原本はグラスヒュッテに保管されている、まさにA.ランゲ&ゾーネの家宝です。
中身はと言うと、一番最初にグートケス氏の紹介文があります。
更にめくってゆくと様々な時計の製造方法が綿密に記述されており、細かな数字なども非常に細かくデッサンされている、そう言ったランゲ自身の時計との向き合い方が窺い知れる一冊です。
「旅の手帳」の見開き
ランゲは、なかでもパリが気に入ったのと、時計技術の水準が高かったため、約3年近く滞在して研鑽を積み、ドレスデンの地に戻ってくることとなります。
時計師として名を馳せるきっかけになった五分時計
旅を終えてドレスデンに戻ったランゲですが、彼が時計師として名を馳せることになった最初の時計がドレスデンの地にあります。
画像出典:公式ホームページより ゼンパー歌劇場
ドレスデンには、ゼンパー歌劇場と言う非常に有名、かつ由緒正しいオペラ座があります。
ここはドイツの有名な作曲家、ワーグナーや、シュトラウスのオペラや戯曲の初演が行われた場所と言うことで知られています。
そのオペラ座を建設するときのことです。
当時、オペラを鑑賞するお客様はほとんどが富裕層だったため、非常に貴重な時計を持っている方も少なくなかったそうです。
しかし、ハンターケースの蓋の開閉音や、ミニッツリピーターが時間を知らせて鳴る音というものはオペラの鑑賞にはそぐわないものでした。
それを気にかけたザクセン王朝の王様は、観客席にいながら時間を知ることのできる、どこからでも見える時計の製作をグートケスに依頼します。
フェルディナント・アドルフ・ランゲも、グートケスと一緒にこの時計の製作に関わっているのです。
五分時計と呼ばれる、ゼンパー歌劇場の時計。
実は大人6人ぐらいが機械の中に入れるような非常に大きな時計です。
ただ、ゼンパー歌劇場自体がこの後自然発火の火災で焼けてしまったり、爆撃を受けて消失してしまっているので、今ある五分時計は電動になっています。
昔は勿論機械式だったのが作り直されているのだとか。惜しいですね・・・・・・。
画像出典:公式ホームページより 客席から見た舞台上方の現在の五分時計
さて、五分時計はその名前の通り、1時5分、1時10分と5分ごとに順番に時間を知らせてくれる時計ですが、例えば2時ジャストの時は分を表示する部分が無字になります。
A.ランゲ&ゾーネの時計ではアウトサイズデイトと呼ばれる非常に見やすい日付の機構ですが、実はA.ランゲ&ゾーネが最初に特許を取った機構なのです。
今でも、アウトサイズデイトでは一桁の数字を表示する際は10の位が無地になります。
これはゼンパー歌劇場の五分時計がジャストの時間に00分ではなく、無字で表記されていたことにちなんでいます。
更にはアウトサイズデイトのデザインフレーム。
これは機構と共にランゲに非常に多大な影響を与えたものの一つです。
A.ランゲ&ゾーネの中にツァイトヴェルクというファミリーがありますが、それは五分時計へのオマージュとして世に送り出されました。
こういった時計の製作に関わることで、フェルディナント・アドルフ・ランゲ氏は時計師として名を馳せてゆくようになるのです。
A.ランゲ&ゾーネの創業はグラスヒュッテにて
A.ランゲ&ゾーネの創業年は1845年です。
そのとき、実際に創業の地としてランゲが選んだのは、当時ザクセン王朝の首都であったドレスデンではなく、グラスヒュッテという山間の町でした。
画像出典:https://unsplash.com/
この町は、かつては銅やすず、いわゆる鉱物が取れたエリアです。
しかし、ランゲが起業を考えていた19世紀前半には鉱物の枯渇で、貧困にあえいでいた町でもありました。
グラスヒュッテの人々は雪深い中で忍耐強い人が多く、「木彫りのくるみ割り人形」などを作り生計を立てていたのですが、ランゲはその忍耐強さと手先の器用なところに着目し、町おこしの意味もかねて時計会社を立ち上げます。
それが、1845年12月7日のことでした。
ドイツから資金援助を受け、最初はランゲ&Cieという、要はランゲ&カンパニーという名前で会社を興します。
さて、無事に会社を立ち上げたランゲですが、A.ランゲ&ゾーネの時計の特徴でもある、いわゆる4分の3プレート──接地面を広くした大きいプレートにたどり着くまで、様々な試行錯誤がありました。
最初は2分の1プレートに始まり、全体の2/3を覆う3分の2プレート、4分の3プレートと徐々にプレートが大きくなります。
接地面を広くすれば時計の堅牢性を高めることが出来るのではないかということで、創業から50年ほど経った1864年、4分の3プレートの確立に至りました。
以降、A.ランゲ&ゾーネの時計にはこの4分の3プレートが施されることになります。
画像出典:公式ホームページより
スイス時計の場合、ブリッジと言って大体3つくらいのブリッジに分かれた構造のムーブメントが多く存在します。
それに対してドイツ時計は広くて大きいプレートを使って接地面を広くすることによって、堅牢性を持たせています。
ある意味ドイツ人らしい、質実剛健なつくりが特徴です。
27の特許を取った科学者
1868年、ランゲ氏の長男である、リヒャルト・ランゲが入社したことによって会社には新たな流れが起こります。
A.ランゲ&ゾーネのファミリーにはリヒャルト・ランゲと言うモデルがありますが、このモデル名の由来となったのがリヒャルト・ランゲその人です。
彼は会社において、時計師と言うより科学者に近い立場の存在でした。
例えば、ひげゼンマイと言う時計のパーツ。
ひげゼンマイは常に伸縮するパーツですが、伸縮する際には当然「統一性」がないといけません。
その時に鉄にしなやかさを帯びさせるためにベリリウムを配合した合金を開発し、最初の特許を取ったのがリヒャルト・ランゲです。今でもニヴァロックス・ファー社でのひげゼンマイにおいてはベリリウムを混ぜる工法が用いられています。
後述しますが、今現在、リヒャルト・ランゲの功績をきっかけにA.ランゲ&ゾーネは自社でひげゼンマイの大半を作っております。
全部で27の特許を取得した、本当に天才的な科学者でもあったのです。
フェルディナント・アドルフ・ランゲと息子たち
リヒャルト・ランゲが入社したことによって、A.ランゲ&ゾーネは1868年、ランゲ&Cieと言う社名から正式にA.ランゲ&ゾーネと言う会社に代わります。
ロゴの表記においてA.ランゲ&ゾーネの「A.ランゲ」は言うまでもなくフェルディナント・アドルフ・ランゲ氏。
創業者の名前が一番にありますが、続く「ゾーネ」はドイツ語で「息子たち」という意味です。英語で言う「sons(サン)」に相当する言葉ですね。
加えて、グラスヒュッテI/SAと書かれているものは生産地表示です。
SAはA.ランゲ&ゾーネの創業地であるザクセン王国、今のザクセン州のことです。
そしてIはイン。つまりザクセン州の中のグラスヒュッテと言う町で作っている生産地を表しているのです。
1868年、この年に息子たちが入社してきたことによってフェルディナント・アドルフ・ランゲとその息子たちが運営している、また、息子や孫たちが会社を引き継いでほしいという願いを込めた会社名に切り替わりました。
因みに、長男であるリヒャルト氏の後、次男のエミール氏も入社しました。
エミール・ランゲは経営の資質に優れた人物だったので、以降、会社は彼に引き継がれてゆくことになります。
さて、今に名を残すブランドは、19世紀、あるいは20世紀初頭に当時の王家や貴族などに寵愛を受け、評価されていたからこそ現在もその伝統を引き継がれているのではないかと思います。
これはA.ランゲ&ゾーネも同じです。
19世紀後半当時、ドイツからオスマントルコ帝国への表敬訪問の際に献上されるものの一つとして選ばれたのがA.ランゲ&ゾーネの時計でした。

画像出典:公式ホームページより オスマントルコ表敬訪問時献上した懐中時計
国と国との信頼の証として時計の製造依頼を請ける、その当時のドイツ以外のヨーロッパにおいてA.ランゲ&ゾーネがいかに高い評価を受けていたかが窺い知れるのではないでしょうか。
この時献上されたエミール・ランゲ制作の時計は、今でもトルコのトプカプ宮殿宝物庫に保管されているそうです。
A.ランゲ&ゾーネを襲う悲劇
さて、歴史は進み第二次世界大戦のころの話になります。
1945年2月、終戦の年にドレスデンが大空襲を受けてしまいます。
その後、ドイツが降伏文書を出そうとした間際の5月にグラスヒュッテの町も爆撃を受けてしまったのです。
なぜなら飛行機に乗る際には時計が必要となり、A.ランゲ&ゾーネをはじめとするグラスヒュッテの時計メーカーは軍用時計の製作を命じられていました。つまり、時計産業は軍需に繋がるということでグラスヒュッテも爆撃の対象となってしまったのです。
それによってA.ランゲ&ゾーネの社屋もがれきに埋もれてしまいますが、ランゲ家の人やスタッフが一生懸命文献や工具を持ち出して会社の再興を試みます。
しかし、それは1948年、東西ドイツの分裂という事態によって断念を余儀なくされました。
ご存じの通り、東ドイツには共産主義の国が樹立されました。
そうなると、会社は完全に国有化され、経営者たち──つまりランゲ家の人々には、ウラン工場で働くように、と言う非常に厳しい命が下ります。
当時、ウラン工場での労働は被ばくして死ぬ可能性が高かったため、ランゲ家の人々はやむを得ず西ドイツへ亡命を果たすこととなるのです。
それによって、1845年の創業から約100年続いたA.ランゲ&ゾーネという会社は一旦休眠という形を取らざるを得なくなりました。
東西ドイツ統合により再興したA.ランゲ&ゾーネ
画像出典:公式ホームページより
しかし、1990年、ベルリンの壁の崩壊を経て東西ドイツ統合となり、再び歴史が動き始めます。
ウォルター・ランゲ氏をはじめとするランゲ家の人々は、ようやくグラスヒュッテの町に戻ることが出来ました。
そして、いよいよ旧ランゲ&Cieの創業と同じ、12月7日。
A.ランゲ&ゾーネの社名を商標登録することが叶います。
ただ、ランゲ家だけでは会社を再興する力や資金がありませんでした。
そんな折に多大な協力者となったのが、当時、IWCとジャガー・ルクルトの代表でもあったギュンター・ブリュームラインです。

画像出典:公式ホームページより ギュンター・ブリュームラインとウォルター・ランゲ。工房の組立て部門にて。(1994年)
彼は、時計において非常に造詣の深い人物でした。
A.ランゲ&ゾーネが再興される少し前に起こった、クォーツショックという事態があります。
日本のセイコーが精度の高いクォーツ(水晶振動子)を用いた時計を開発することによって機械式時計の概念が覆されてしまいました。
このクォーツショックで倒産したり、厳しい経営状況に追いやられる会社が数多くありました。
そんな状況下においてもブルムライン氏は機械式時計の良さを今一度見直す、あるいはクォーツ時計も作りつつ機械式時計の生産を行う等の道を示し、IWCとジャガー・ルクルトを再興した立役者です。
また、ギュンター・ブリュームラインはA.ランゲ&ゾーネを絶対に復興させなければならないと考えていたうちのひとりです。
そのためには、ランゲ家の人間を引き入れないといけないと考え、彼はウォルター・ランゲを探しあてました。
因みにその当時のウォルター・ランゲ氏はLMHグループの親会社であるマンネスマン傘下のサラリーマンとして働いていたのですが、そこで運よくブルムライン氏と邂逅を果たし、手を携えてA.ランゲ&ゾーネを復興させたということです。
持てる伝統工法をいかにして活かすか
しかし、かつては懐中時計しか作っていなかったA.ランゲ&ゾーネが腕時計全盛の世の中で、腕時計を製作して復活しなければならない。
A.ランゲ&ゾーネは懐中時計の伝統工法を活かして腕時計を製作しなければいけないという部分で色々と苦心することになります。
そこで、ウォルター・ランゲ氏はグラスヒュッテの時計技師から、その当時優秀だった15名ほどを抜粋します。そして彼らを当時のIWCのファクトリーへ向かわせ、最高級の機械式時計のつくりとは、と言ったことなどを初歩から学ばせました。
そうして様々な苦労を重ねて1994年、ランゲ1、サクソニア、アーケード、そして時計業界の度肝を抜くトゥールビヨン”プール・ル・メリット”と言う4つのモデルを発表します。
ランゲ1は、ファーストモデルでありながら今でもA.ランゲ&ゾーネの代表モデルであり、ベストセラーモデルとして有名です。
サクソニアもランゲ1に並ぶ主力モデルのひとつで、名前の由来はA.ランゲ&ゾーネのあるザクセン州、あるいはザクセン王国のラテン読みがサクソニアであることからきています。この当時、サクソニアはバーインデックスが短めの仕上がりとなっていましたが、今ではバーが長いエレガントな雰囲気に変わっています。
更にはアーケードと言うモデル。
当時としては希少なレディースモデルです。
このモデルは後に惜しまれながらも廃番になってしまいますが、いわゆるお城の回廊(アーケード)をモチーフにしたアールデコ調のデザインが特徴でした。
最後のトゥールビヨン”プール・ル・メリット”は鎖引き装置との複合モデルとして、世界で初めて生み出されたものです。鎖引き装置とは、その引き合う力を均一化することで主ゼンマイへの安定したトルク供給が可能になる特殊な技法です。
それを腕時計に、更にトゥールビヨンとの複合機構として世に出したのはA.ランゲ&ゾーネが初めてでした。
因みに、プール・ル・メリットで採用されたアラビア数字のインデックスデザインは「1815」シリーズに引き継がれていくことになります。
いきなりこのハイレベルなド級の時計を作り、世にデビューしたことは非常に素晴らしいことでした。
ただ、カリスマ経営者と呼ばれたギュンター・ブリュームライン氏でさえ、このこだわり抜いた時計たちが世界に受け入れられるのか、一抹の不安があったそうです。
この4つのモデルは、ドレスデンの宮殿で世界中のプレスや取引先を集めて発表されました。
A.ランゲ&ゾーネの腕時計はまず年123本の製品と共にデビューしましたが、実際は世界中の多くのプレスから素晴らしいと高い称賛を受け、作ったその何倍もの受注を請けることが叶ったのです。
A.ランゲ&ゾーネは成功裏のもと、ついに復活を果たしました。
決して立ち止まらない – NEVER STAND STILL –
最初にデビューした4型のなかで、ランゲ1とサクソニア、鎖引きのプール・ル・メリットと呼ばれるシリーズは、少しずつ変化はあれど25年以上A.ランゲ&ゾーネの主力モデルとして輝き続けていることになります。
アーケードだけは廃番になってしまいましたが、これだけ引き継がれるモデルをデビュー時から携えているブランドと言うのは、多くはないと思います。
その後もA.ランゲ&ゾーネは様々な技術革新を試みており、2003年には初めて自社製のひげゼンマイを開発、翌年にそれを搭載したダブルスプリットというモデルを発表しました。
2006年にはリヒャルト・ランゲと言うA.ランゲ&ゾーネで唯一センターセコンドの時計を発表しますが、そのモデルにも自社製ひげゼンマイを搭載しています。
当時でも、時計の生産がわずか5、6000本しか作らなかったブランドが自社でひげゼンマイを作るということ自体が驚きですが、このきっかけは勿論創業者の長男であるリヒャルト・ランゲ氏になります。
彼がペリリュウムを混ぜた合金で特許を取ったので、それにちなんでA.ランゲ&ゾーネのおおよそ85%のモデルには自社製ひげゼンマイを搭載しているとのことでした。
そして、2017年。
決して立ち止まらない、NEVER STAND STILLと言う社是を追い続けた4代目ランゲ家当主、ウォルター・ランゲ氏が残念にも他界してしまいます。
しかし、A.ランゲ&ゾーネはそれによって更に新たな歴史を迎えることになるのだとうかがいました。
新社屋落成式の様子
また、新社屋の落成式にはドイツのメルケル前首相も参加したということから、いかにA.ランゲ&ゾーネがドイツのみならず、ヨーロッパにおいても高い評価を得ているかを実感することが出来ます。
A.ランゲ&ゾーネ正規販売店 アイアイイスズについて
わたしたちアイアイイスズは、国内最大級の品揃えを誇る四国高松の老舗時計店です。
カルティエ、オメガ、ウブロ、ブルガリ、シャネル、ブライトリング、タグホイヤー、パネライ、IWCといったブランドは勿論、オーデマピゲ、ブレゲ、A.ランゲ&ゾーネといった世界でも最高峰と言われるブランドまでを国内正規代理店として取扱う、国内有数の時計店です。
当店は日本で一番最初にA.ランゲ&ゾーネの正規販売店としてお取り扱いを開始した4店舗のうちの1店となります。
日本国内で、最初に正規代理店となった店舗は下記の4店です。
時計専門店:アイアイイスズ
デパート:日本橋三越、心斎橋大丸、福岡三越
※デパートで3店舗、時計専門店では、唯一の店舗でした
当店では、まるでブティックのように、各ブランドの世界観が余すところなく表現されております。
アイアイイスズ本店 A.ランゲ&ゾーネブース
当然ながら、アイアイイスズでは取り扱いブランドを全て正規品で揃えています。
ネット通販では偽物が出回っていることがありますが、アイアイイスズでは全ての商品を正しいルートから仕入れておりますので偽物の心配はございません。
また、正規品と並行輸入品ではメーカー保証や修理の対応も変わってきます。
取扱いブランドの公式サイトにもアイアイイスズが紹介されております。
ブランド、メーカーとの繋がりも深く、お客様からのご要望がございましたら当店に在庫のない商品でも、メーカー取寄せ等、柔軟に対応させていただきます。
アイアイイスズのオンライン販売サイト EYE EYE ISUZU Online LUXEでは、長い年月をかけて培われた審美眼に基づき、ECサイトならではの品揃えと、実店舗と同じように正規品にこだわり、そのブランド毎の世界観を皆さまにお伝えさせて頂きます。
もちろん、掲載しておりますA. LANGE & SÖHNE(A.ランゲ&ゾーネ)の商品に関してもメーカー様より仕入れをしている正規品でございます。
実店舗では専門の知識をもったスタッフが常駐しておりますので安心してご来店ください。
ECでの対応も、もちろん各ブランドごとに専門スタッフが対応させていただきます。
商品のご質問は勿論、修理など気になることがございましたらご遠慮無くお問合わせ・お申し付けくださいませ。
皆様のより良いお時計選びのお手伝いができましたら幸いでございます。
この記事の監修者
- 山本 公一郎(ヤマモト コウイチロウ)
株式会社アイアイイスズ.HD
EYE-EYE-ISUZU G-Time店長
- 香川県出身
大学を卒業後、外資系製薬会社MRを経て、アイアイイスズに入社。
25年以上のキャリアを持ち、スイスの高級機械式時計からG-SHOCKまで、腕時計に関する幅広い見識を持つ。
店舗のHPはこちら
[ アイアイイスズ Online LUXE ] https://www.eye-eye-isuzu.co.jp/online/
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