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【2020年新作モデル】ブレゲ トラディション 7597 レトログラード デイトが登場しました



今年のブレゲの新作の一つ、トラディション 7597はポインターデイトを搭載したブレゲらしい新作でした。

プレスリリースはブレゲの公式サイトに書かれているので端折りますが、この超ブレゲ的なシリーズは相変わらず素敵だなぁ、と思ったので皆さんも一度ご覧ください。



「トラディション」コレクションは、ブレゲの歴史で最も重要な時計の一つに数えられる「スースクリプション」から着想されたものです。シンプルを極め、時計の表側から露わになった裏面の隅々まで見渡せるそのムーブメントは、完璧なシンメトリーの構造が特徴です。新しい「トラディション レトログラード デイト7597」に備わるレトログラード式の日付表示は、アブラアン-ルイ・ブレゲが初めて開発した複雑機構の一つで、ブレゲの有名な時計のいつかに採用されていました。 このトラディション コレクションの新作は、ローマ数字のチャプターリングを配し、これと境を成すクル・ド・パリ模様のギヨシェ彫りにブルースティールのブレゲ針が映えます。レトログラード式の日付表示は、シンメトリーのバランスを考慮して3時と9時の間に設けられ、巧みにカーブをつけた針が、極めて構築的なデザインのムーブメントの上を移動します。特許を得た日付修正機構により、容易に日付の調整が可能になったこの立体的なデイト表示の針が、ムーブメントのパーツの上を滑るのです。10時位置に配されたねじ込みのデイト調整ボタンは、安全に日付の設定ができます。

カンティエム=カレンダーの名を持つこの時計はトラディションで初めてのデイト表示がついています。

しかもこのポインターデイトはレトログラード式になっていまして、31日から1日を表示するときは瞬時にジャンプするようになっています。

10時位置のボタンは押すと日付が進みます。便利機能です。



カレンダー表示も8時位置から4時位置までと幅広く取ってあるため視認性も良いです。好感が持てます。





デイト表示用のプレートの偶数日にはドットを打って表示をシンプルにしているところも良いですね。
ここは転写じゃないのがとても良いです。高級感あるなぁ、と。



さて、このトラディション シリーズを紐解いていきませんか。

ブレゲの生きた時代


ブレゲが生きた18-19世紀のフランスは大多数の庶民とごく少数の王侯貴族という封建的な時代でした。

当時は貴族社会ですから、時計を購入する顧客というのは王侯貴族、また大商人などの大層な身分の方が多かったようです。

この時代のフランスについて簡単に書きますが、こういった激動の時代背景があります。











































1789年 フランス革命
1791年 ヴァレンヌ事件
1792年 8月10日革命、王政廃止
1793年 ルイ16世、マリーアントワネット処刑
1794年 テルミドールのクーデターで総裁政府成立
1795年 ヴァンデミエールの反乱、ポール・バラス政権が誕生
1796年 スースクリプション発表
1799年 ブリュメールのクーデター、ナポレオン・ボナパルトが執政政府を樹立
1799年 モントレ・ア・タクト販売
1804年 ナポレオン1世が皇帝に即位


スースクリプション(予約販売)


そんな中「スースクリプション」という時計を1796年にブレゲは発表します。

意味は予約販売、です。

まずは時計をご覧ください。



そして、下の写真が1796年にブレゲが出したスースクリプションの広告。
時計業界で初めてのカタログ販売と言われています。さすがブレゲ。





"the art of breguet"の13ページです。

このスースクリプションという時計の販売システムはそれまでの時計販売方法と大きく違う点がありました。

  • 注文時に4分1を前払い

  • カタログ販売

  • シンプルな1針時計

  • 納期を遵守


この時代は納品時に代金を支払う方法が一般的だったので、時計の注文を受けてから納品するまでの間、ブレゲは職人達へどうやって賃金を払うか悩んでたようです。

エマニエル・ブレゲ著の本にも載っていましたが、時計代金を払ってくれない顧客もいて、その請求(取り立て)にブレゲも苦労していたようです。

そういった様々な厄介ごとを一度に解決する方法がこのスースクリプションと言うことです。

  • 注文時に一部前金を受け取るので製作期間中も職人への賃金を支払うことができ、

  • カタログ販売なのでどんな商品なのかが分かりやすく、

  • シンプルな1針時計なので納期が短く、

  • 納期を約束することができる


顧客にとってもブレゲにとっても双方良い条件ですね。

一説には革命により貴族等の注文が減少するなか、スースクリプションの広告は一般的な(といっても裕福な)顧客層へ向けてのアプローチとも言われてます。

ブレゲのスースクリプションは商業的に成功し、数多く作られることになります。



先ほどあった広告の右ページの説明文には”落としても大丈夫な造りにしています”的なことも書いてあって、それが左の画像中央にあるパラシュート機構のことですね。



そして、画像右の通り裏面も開くことができます。
時計業界初の裏スケルトン!多少意味は違いますけどね。

美しいですね。
ブレゲのムーブメントは左右対象になっているのが多く時計作りにおけるこだわりを感じます。


モントレ・ア・タクト(触覚時計)


ブレゲの針が1本のスースクリプションは商業的にも成功し、数多く作られることになります。

あまりに出来が良かったため、今度はまた貴族等による注文も増え、「スースクリプション」は「モントレ・ア・タクト(触覚時計)」の開発・販売につながっていきます。

こちらが「モントレ・ア・タクト」。



「モントレ・ア・タクト」は触るだけで時刻を知るメカニズムを時計に搭載しました。

ケースの外周の突起は時計の時針の位置をそのままに再現しており、この突起の位置に触れることで、それぞれの時間に配されているスタッドの位置から時刻を知ることができます。

社交界など人前で時計を見ることがタブーとされた時代、ポケットの中にあっても触れば時間が分かるこの機能はたいへん重宝されたようです。

「モントレ・ア・タクト」にはエナメルやパール、さらにはダイヤモンドの装飾も施されていくようになり、ケースを開けた時にも時計が見られるようになっています。



これが現代のトラディションへ繋がります。


トラディション


トラディションはモントレ・ア・タクトの意匠が多くあります。

via timezone.com

ブレゲを愛した故ニコラスGハイエックは、
「ブレゲが生きていたら21世紀の素材と技術を活用して彼自身が考案したであろうと想定される時計を創作する」
と語っていました。


200年以上前に初代ブレゲが製作した時計。


それは現代でも通用する素晴らしいデザインと先見性を持っています。


現在トラディションはデュアルタイムやクロノグラフ、トゥールビヨン等、この15年で様々なラインナップが揃いました。


今を生きる古典、初代ブレゲの精神を受け継ぐコレクションとして、クラシック シリーズと共にトラディションをご覧になってください。





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