WATCH 解説

新生HYTが創上げる時計の新たな可能性 〜ムーブメント編〜

おさらい

PRECIFLEX(プレシフレックス) の協力を得て遂に液体モジュールの開発に成功したヴィンセント。残すはそれらを上手く連結・作動させる為の機械式ムーブメントのみです。そのミッションを成功させる大きな鍵はある男の存在でした。

 

実はほんの数年前までHYTのムーブメントは、ハリー・ウィンストンのOpus Ⅹ(オーパス10)を開発したことでも有名な、ジャン-フランソワ-モジョン氏が立ち上げたクロノード社であったり、オーデマ・ピゲが誇る天才集団ルノー・エ・パピ社のムーブメントを使用しておりました。転機となったのは2021年3月。新生HYTとして新たに歩み出した同社は、ある男をパートナーとして指名します。

 

その男こそが、今世紀最高の時計師として呼び声の高いEric Coudray(エリック クードレイ)氏です。





日本では知らない方も多いと思いますが、ジャガー・ルクルトで20年以上のキャリアを持ち、ジャイロトゥールビヨンの開発に着手したりと輝かしい経歴の持ち主であり多くの時計職人から「芸術の天才」と称される程の人物です。

 

余談ではありますが、彼はジャガー・ルクルトの在籍中に「もう一人の天才」と運命的な出会いを果たします。様々なブランドとコラボレーションを図り、斬新なデザインが特徴的なブランド、MB&Fの創業者マキシミリアン・ブッサー本人です。





3年以上前の記事ではありますが、webchronosの彼のインタビュー記事の中にてエリック・クードレイ氏の名前が出ております。両者とも突出したディレクターと技能士でありますが、ハリー・ウィンストン時代にOpusシリーズという後世に残る一大プロジェクトの企画・指揮を執ったブッサー本人がその名を口に出すことはエリック・クードレイ自身がいかに優れた技能士であるかを証明してくれています。

MB&Fの創業者マキシミリアン・ブッサーが過去に〝共演〟した時計師や今後について語る

2020.07.05

今回、MB&Fの創業者として知られるマキシミリアン・ブッサーにじっくり話を聞く機会を得た。ジャガー・ルクルトやハリー・ウィンストンでの時計製作を経て、“とにかく普通でない時間計測機械”を自ら立ち上げた会社にて(多くの友人の協力を得ながら)多彩に創り出してきた人物である。[…]


エリック・クードレイ自身は現在、HYTのグループカンパニー「TECグループ(テックグループ)」に在籍しその才能を遺憾無く発揮しております。彼は新しく13分割された制御パーツ「カム」を心臓部分に取り付けることで、今までの課題であった液体部分の微妙な時刻ズレを改善することに成功しました。



こうした合縁奇縁とも言える様々な導きのもとで、世界初の流体高級機械式時計「HYT」は作られております。次回からは、現在製作されている希少なタイムピースをモデルごとに紹介していきます。また見てください。

この記事の監修者

山口 喬之(やまぐち たかゆき) 役職: セールススタッフ

大学時代に機械式時計の芸術性に心を打たれ、時計業界で働くことを決心。スタッフとしてだけでなく一時計ファンとしての対応を心がけている。

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